松山の家 - 奥野崇 建築設計事務所の施工実例
施主様のこだわり
微細な階調を仕掛け、 豊かな居場所をつくる。
心に安らぎをもたらす穏やかさを湛えながら、多様な居場所があり、建主さんが時を豊かに積んでいける家を、奥野さんはめざした。建て込んだ住宅地で、借景を得ることができない立地だったため、敷地の広さを生かして内庭を設け、庭をコの字に囲むように建物を配置。内庭と開口部の工夫によって、プライバシーの確保とともに、家の中からの美しい眺めを叶えた。それぞれの居場所に適した開口部のサイズや位置を割り出し、建具、簾、スクリーンなどを組合せた重層な窓まわりを設計。それらの開閉を加減することで、見え方のバリエーションが生まれ、光の入り具合の調整も行える。
「見える、見えない。明るい、暗い。広い、狭い。聞こえる、聞こえない。それぞれの間にある階調には深い可能性があると思う」と奥野さん。この家には、空間を多様に変容させることを意図した、微細な階調が仕掛けられている。