わび・さびを感じる数寄屋 - 西渕工務店 一級建築士事務所の施工実例
施主様のこだわり
四季の移ろいを享受する木の家。
この場所に昭和初期から存在する、美しい日本庭園に佇む茶室。このたび新たに建てられたはなれは、その趣ある建築と並び、日常的に茶の湯を愉しめる場所として計画されたもの。伝統的な茶室の形式を踏襲しつつ、周囲の景観を取り込み居住環境をデザインした。川砂利洗い出しの玄関には、施主さま所有の山の檜を置き床に。さらに天井は杉を曲げ張りにし、緩やかな曲線の美しさを表現。邸内には3つの茶室があるが、立札席は檜の柾板で床と天井、建具を統一、本畳の八畳席は竿縁天井に、水屋を挟んだ三畳席の天井には杉のへぎ板の網代天井を採用するなど、それぞれに趣の異なる空間とした。開口部には吉村障子と簀戸を設えるという粋な仕事も心憎い。棟梁をはじめ、大工、左官、庭師ら職人たちの手仕事が随所に息づく茶室で、息をするように茶の湯に触れる。主人はそんな日々を編んでいることだろう。