四国の土地性を感じさせるレストラン - 株式会社 YAD 一級建築士事務所の施工実例
施主様のこだわり
ゆるやかに流れる時間、瀬戸内の海のきらめき、四国の“あやふや感”を演出。
東京都日本橋に完成した「SHIKOKUバル88屋(はちはちや)」は、四国の食材を使った郷土料理を提供するレストラン。河野さんは同コンセプトの店としては丸の内にある「88屋」に続く設計となった。「両店に共通するのは四国らしさの演出。あらためて四国を見つめたとき、都市部と田舎部が混在した良くも悪くも“あやふやな土地”であると感じました。そのファジーななかにある居心地のよさが四国の魅力だと思ったのです」。丸の内では積極的に阿波藍や焼物など四国の工芸品をしつらえに取り入れたが、日本橋ではあえてそうした手法を取らず、時間軸という抽象的なイメージを店内に散りばめた。骨董箪笥が醸し出すゆるやかな時間の流れ、壁面に取り付けた木材が描く瀬戸内海のきらめき。ゲストは座る席、目に入る場所により多様な四国のイメージを抱くことができる。客層を考慮し、アーバンなデザインだが、どこかぬくもりを感じさせる。その印象こそが、河野さんがとらえた四国のもう一つの顔なのだ。