長浜の家 - 奥野崇 建築設計事務所の施工実例
施主様のこだわり
藩政時代に大洲藩の船奉行が置かれた歴史を持つ長浜町。その由緒ある地にふさわしい品格を漂わせるたたずまいのYさま邸。奥野さんは約250坪ある敷地を活かし、家と庭を絶妙な関係で一体化させるプランを描いた。ご夫妻の生活空間とお子さんたちが帰省した際に機能する空間を持つ平屋が築かれ、趣の異なる5つの庭が家を囲む。 「華美ではなく、控え目な美」を意図し、無垢の木や珪藻土、大理石といった“本物の素材”を使い、凜とした空間に仕上げた。象徴的なのは、天井の化粧垂木。それは、「極み」の空間をつくりだすためにこだわった、“ あらわし”の美である。 家と庭と家具の調和を図るため、庭の設計はもちろん、置き家具の選定にも奥野さんが関わった。Yご夫妻と一緒にショールームをめぐり、納得のいくものを選んだという。Yご夫妻と奥野さんが美意識を呼応させながら仕上げた邸宅である。 「“しきる”と“つなげる”の加減を大切にした」と奥野さん。その加減によって空間ごとに趣向の異なる庭との融合が生まれている。リビング、ダイニングは、大きなガラス窓と引き込み戸で約5mの大開口をつくり、深い軒と室内からフラットに延びるウッドデッキで庭とおおらかにつなげている。寝室や浴室は観賞するのにちょうどいいプロポーションの窓で庭とつながる。光の加減も巧妙で、あえてほの暗い部分をつくり、各空間に沿った雰囲気と奥行きのある味わいを演出している。