施主様のこだわり

　街の中心部にたたずむ打ちっ放しのビル。その最上階に、三瀨さんが空間デザインを手掛けた「セレクトショップ ウフ」はある。もともと服飾デザイナーを目指し、東京の専門学校に通っていた三瀨さん。服をつくるたびに「この服たちに似合う空間をつくりたい」と思っていたそう。そして飛び込んだ建築の世界。「この空間をつくるにあたって原点に戻り、この仕事に向かってがんばっていたときのことを思い出して取り組みました」と三瀨さんは話す。　施主さまからは「ブティックとしては隠れ家のような立地。そこにパリにあるショールームのようなテイストをプラスしてほしい」とオーダー。三瀨さんはパーテーション使いで奥行きを出す工夫をし、服の大敵となる光は角度をつけた棚で遮断しながら、明るさだけを取り入れた。そして服選びで大切なポイントとなる“自然光や照明による色の見え方の違い”をしっかりチェックできるよう、色温度の違う照明を場所によって使い分けている。そしてミセヨーコ・ワールドの真骨頂であるモザイクタイルを貼ったRの壁も健在だ。素敵な服と空間の融合は、そこに入った女性を美しく彩り、幸せな気持ちにする。シンデレラのように、魔法にかけられる空間だ。